2020年10月24日土曜日

青春は選択の連続、瞬間の連続。響け!ユーフォニアムを二つの劇場版を見た後に引き続き語る回、誓いのフィナーレ編。

 部活と勉強と人間関係と、自分のことと家庭の事情と。全部大事なのに時間がない。高校の三年間は待ってくれないのだ。そしたら自分で選ぶしかない、何がいちばん大事で何が後回しなのか。青春は選択の連続だ。

 久美子は秀一からもらったピンを返した。あがた祭りの時はつけていたピンを。好きとかそうじゃないとかいうことは、部活が終わるまで考えられないから。久美子は部活をいちばんに選んだのだ。

 部活を選んだら人間関係は無視していいか? そんなことはない。一年生の世話係になった久美子は、部に馴染めない美玲を気遣ったり、中学で人間関係に擦れてしまった奏と正面からぶつかったり。自分で選ぶしかないくせに、選びようがない要素が避けようもなく転がり込んでくる。青春ってのはままならない。

 自分選んで頑張った、そしたら報われるか? そんなの誰にもわからない。北宇治高校は関西大会ダメ金で、優子たちの夏は終わってしまった。ままならない上に、残酷だ。

 なぜ選ぶんだろう。なぜ頑張るんだろう。特別になりたいからかな。特別になったら報われるとか報われないとか、そんなこと飛び越えた先の世界にいけるからなのかな。

 久美子にとってはそうじゃないんだ。ただ上手くなりたいんだ。上手くなったら最終的にどうなるかなんて考えてられない。青春は選択のくせに、刹那なんだ。青春はその人にとって、ある瞬間と次の瞬間、そしてまた別の瞬間なんだ。

 もう高校生でなくなってしまった僕らは振り返ることしかできない。なんであんなことしたんだろ、こうしておけば違ったのかもって。でも連続としてしか過去を見れない僕らは、あの時青春が本当にどんな形をしていたか、もう知ることができない。過去の選択が何をもたらしたのか知っているつもりになっていても、意味がない。僕らが自分の過去の青春にできることは見守ることだけだ。

 久美子が何をするのか、秀一とどうなるのか、次の後輩は、れいなは、滝先生は、全国は、ゴールド金賞は、目が離せない。ああしなきゃとかこうしたらとか、そんなことは口の中に押し込んで固唾を飲むしかない。久美子の青春はもはや、他人事じゃないからだ。

鳥籠を開け放っても、また会える。響け!ユーフォニアムを二つの劇場版を見た後に引き続き語る回、リズと青い鳥編。

 青い鳥の少女は仲間を見上げていた。内気なリズは美しい青い鳥の少女を閉じ込めていた。青い鳥の少女は閉じ込められることに満足していて、リズを愛していた。結局リズは現状を否定して、青い鳥の少女からの愛を突っ返して、ケージを開け放った。青い鳥は去った。

 物語はこれでおしまい。さて、これでリズと青い鳥は一生のお別れなのだろうか?

 断言しよう、青い鳥は舞い戻った。なぜならリズを愛していたから。

 北宇治高校吹奏楽部のオーボエ奏者・みぞれはフルートソリスト・のぞみを愛していた。のぞみはみぞれを「何もないところ」から連れ出して、吹奏楽部という居場所を、楽器という長所を与えてくれたから。のぞみは友達が多い。でもみぞれにはのぞみ一人しかいない。どこの輪にも入れる人気者ののぞみは青い鳥のよう。あるときのぞみは断りもなく吹奏楽部をやめてしまって、みぞれはひとり、どうしていいかわからなくなった。結局のぞみは吹奏楽部に戻ってきて、二人は和解。みぞれのオーボエは歌声を取り戻した。

 二人は高校三年生になった。進路希望調査に何も書けないでいるみぞれに、先生は音大を勧める。みぞれはのぞみが受けるなら、と音大を希望するようになった。が、のぞみはプロのフルート奏者になる覚悟はないのだった。自分が楽器をやめてしまったらみぞれが何もできなくなってしまう、そのことが恐ろしいから音大には行かないと言い出せない。吹っ切れたみぞれの演奏を聞いて、歴然の差があることを思い知ったのぞみ。今や青い鳥はみぞれで、リズはのぞみだった。どこまで羽ばたいていける演奏の力があるのに、みぞれはのぞみへの愛ゆえに、のぞみのそばを離れようとはしないのだった。滝のようなみぞれの言葉、のぞみの全てへの愛の告白に「みぞれのオーボエが好き」とだけ応える。愛しあっているだけではいられないこと、そして自分に翼があることを自覚したみぞれは、音大へ行くこと決める。普通大学を受験するのぞみとは別れることになる。でも二人はまた会える。会えるどころか、ずっと一緒でさえあるかもしれない。みぞれには翼があって、のぞみを愛しているから。

劇場版響け!ユーフォニアム誓いのフィナーレ&リズと青い鳥 感想書き散らし編

 まずは書き散らしから。「誓い」「リズ」の名称を使用します。

リズ

・色使い、キャラデザが違って面白い。どうでもいいけどキャラデザと言った時はデザインされたもの(絵柄とか)を指し、キャラデと言ったときにはデザインする行為やする人をさしがち。

・主人公があまり多くを語らないところがヴァイオレットエヴァーガーデンっぽくはある

・鎧塚先輩はリズでは悩める少女なのに劇場版ではセリフのない背景萌えキャラになっている。かわいいね。

・文庫の装丁がリアルだったので本当にある話かと思ってしまった。リズと青い鳥は架空の物語らしい

・絵本の演技微妙すぎる。どうせ客びきならリズと青い少女で二人キャストしてくれよ

・オーボエのリード作ってるのカッコ良すぎる。やってることがプロだし、もちろんプロになって欲しい。

・のぞみは陽キャでオールラウンダーなのでオーボエブッパのみぞれちゃんに敵う訳が無い

誓い

・キングのK、ダイヤモンドのDなど、楽譜の箇所を示す呼び方が変わっている。これも経験者曰くあるあるらしい。軍隊っぽくてかっこいい

・口が壊れる、とは一般的には金管の演奏に疲れた、という意味らしい。かべちゃん先輩に共感する部活経験者はとっても多そう。

・ようやくゆうこ先輩(部長)のリボンが本番だとシックな茶色に変わっていることに気づいた

・久美子がヘアピンを(一旦)返した。これって関係を進めませんってことだし、シューイチを副部長に指名しそうな気がする。だって恋愛とかそういうのカンケーないし。

・れいなが将来に対する迷いのなさの記号になっている。久美子、迷ってるな。でも今回はれいなについていって終わりじゃないからな。

・みれいのみっちゃんを日陰から引っ張り出し、かなでが日陰に留まるシーン、めちゃ京アニっぽい。ヴァイオレットエヴァーガーデンやユーフォテレビシリーズ2期を通じて学んだ。

・オーボエ天才奏者を擁して、リズと青い鳥というオーボエソロの重要な難曲を選んで、めちゃくちゃ本番で歌ったのに勝てないってやっぱりコンクール大嫌い!ってなってしまいそう。でも絶対注目してくれてる音楽関係者いっぱいいると思う。それにしてもこの人が抜けたられいなしか切り札がないのに全国で金なんて無理じゃないか。やっぱり勝てないんじゃないか。どうなる北宇治、どうする滝先生。

・あがた祭りでれいなはとってもお洒落して、山に登って久美子を待っている。

・死ぬほど悔しいかなでちゃんが次なるエースになるにしても、パートが被っている。フルート、オーボエ、サックスあたりに新しいエースが必要だ。新一年生、どうなる?

・京都立花高校、急激に影が薄れてしまったが大丈夫か? 全国代表は龍聖ではなく立花ではだめか?やっぱり京都橘ばっかりじゃなく龍谷?にも華を持たせておきたいんだろうか、現実の問題として

2020年10月11日日曜日

響け!ユーフォニアム2は部活をもう辞めてしまった人へのラブレターでもある

  主人公の姉:黄前麻美子はトロンボーンを辞めた。いつだったか、親に言われて受験に集中するためだ。そのことを彼女は妹にきちんと説明しなかった。

 主人公:久美子は姉に憧れて吹奏楽を始めた。いつだって姉と合奏したかった。姉が辞めても、彼女は辞めなかった。楽器を好きでい続けた。楽器を変えようとしたけど、ヘンテコな先輩に捕まえられてユーフォを吹き続けた。

 学業がパッとしなかったから。姉に負担をしいてしまった反動で。久美子が部活をやめさせられることはなかった。小学校4年生から高校まで、吹奏楽を続けている。久美子は何があろうともユーフォを好きで、吹奏楽を好きでい続けるだろう。大学へ行くとかそんな話はまだ考えられないが、高校の三年間を吹奏楽部で過ごすだろう。

 久美子のようにはいかなかった麻美子の葛藤、衝突、そして和解、新しい挑戦を描くことで、響け!ユーフォニアムは私たちに勇気をくれる。

 自分でできなかった決断をやりなおすのはいつだっていい。本気なら、新しく挑戦するのに遅すぎるなんてことはない。

 それから、一度目を背けてしまった道を恥じることはない。麻美子が今大好きなように、もう離れてしまった麻美子も吹奏楽を好きでいていいのだ。

 過去と仲良くなろう。辞めてしまった部活を誇りにしよう。

吹奏楽経験者に教えてもらった響け!ユーフォニアム2小ネタ&おまけ

・自分の楽器のアイテムが出るまでガチャ回すのはあるある

・舞台の上はライトで熱い

・他人のソロは祈る気持ちで聞く

・練習時は水をふく雑巾を用意する

・巾着の中身には手入れ用品とかチューナーが入っている

・チューナーのケーブルは引退する先輩のものを一年生がもらう

・トランペットは薬指をかけて支えている

・フルートで最低音を出すときは右手小指が死ぬ

・サックスやユーフォは後発の楽器なので人体に優しい

・フルートとオーボエは基音が同じなので(同じジャンルの移調楽器なので)一緒に練習しがち

・楽器の向き、役割などによって配置は大体決まっている

・全国大会が遅いのは、用具が使いまわせず、運搬の手配などに1ヶ月程度かかるから

・譜面隠しには〇〇高校吹奏楽部、などと描かれている

・盆しか休みがないため部員は一斉に遊びに行く。行先でばったり会う。


おまけ:自分の予想(願望)

・あすか先輩は京都大学法学部に進学予定である

・あおいちゃんは私立大学の名門。東京かもしれないが、同志社とか立命館とかだといいなぁ

・卒業式時点であすか先輩の進路は未定であるが、それらしいそぶりは見せない。強い先輩なので。

・久美子は数学のノートをみるたびあすか先輩を思い出すので、数学がちょっと好きになった

・が、勉強とかより暇さえあればノートを開いて響け!ユーフォニアムを歌ったり指練したりしている